店主の林直です。
林写真館の周辺はお茶の産地で、近所の山々にはうねうねと美しい茶畑が広がっています。5月になるとあちこちで茶摘みをされていたり、お茶を蒸すいい香りがするのです。
そんな茶農家さんにもコロナ騒動の影響が出ているそうで、もともとあった後継ぎの問題や、業界的な機械の大型化の進行が足かせになっていたところに、追い討ちがかかっているそうです。
今回お邪魔したお茶農家さんは、代々受け継いで来られたお茶工場をやめられることになり、茶農家仲間の方からのご依頼で、最後のお仕事を写真に残すことになりました。
例年より早い梅雨入りのため、雨予報だったお天気がずれてまずまずの薄曇りのお天気に恵まれました。
お茶工場に一歩足を踏み入れると濃厚なお茶の香りに包まれ、この上ない幸せな気持ちになります。
お茶づくりの工程は思った以上にたくさんあり、掻き出された茶葉からも良い香りが広がります。
偶然ユーラシア大陸のように見えたので、お茶文化の広がりを空想しながら撮った1枚。
大きな機械がいくつもあり、茶葉の様子を見ながら調整を小まめにしながら作業されていました。こういう機械の扱いも慣れないと大変でしょうね。大きく見えますが、これでもかなり小ぶりなタイプだそうです。このサイズの機械で作られる茶農家さんはどんどん減っているとのこと。どの業界も同じだな〜。
壁に書かれたチョークの正の字。何かとお訊ねすると作業1周終えると1本ずつ書いていたそうです。但し30年ほど前に書いたものとか。そのまま残っているのが良いなと思いました。
広い工場内を行ったり来たりしながら、並行作業で進んでいくお茶揉みの工程をチェックされていました。お茶農家さんがこの時期忙しいとお聞きしていた所以が理解できました。
もうすぐ完成というタイミングの茶葉。何度も何度もチェックが入ります。
あとは袋詰めという完成品。確かにここまでくると、よく見る煎茶などの茶葉に仕上がってきました。勉強になります。
60年間ずっとここでお茶作りをやってこられたと思うと、頭が下がります。本当にお疲れ様でした。
ふと見せる笑顔が素敵なご主人でした。後日談ですが、この撮影のあと「来年も少しはお茶作りをしてみようかな」と仰っていたそうです。この撮影でちょっとでも気持ちを前向きにされたのであれば、この上ない喜びです。
実はこの日、私のほかにもう一人撮影されていた方がおられました。お茶の研究をされているサーシャさんという方です。撮影しながらお茶のことを色々教えていただきました。日本人より日本語が上手でユニークで博学!
撮影の合間に私たちのことを撮ってくださいました。ありがとうございます!
最後に撮ったご主人の写真。お元気で、来年もお茶作りされることをお祈りしています。